ロクトリポート

隕鉄を拾った!?

2018.12.02 15:35:11

多摩六都科学館には時々
「この石は何という石ですか?」や
「この石は化石でしょうか?」といった問い合わせが寄せられます。
そういった問い合わせの中に
「隕石を拾いました。」といって来館される方がいます。
そして、その多くは残念ながら一目で地球の岩石だと分かるものです。

そんな中、多摩市の小学1年生、峯岸凜太郎くんが持ってきてくれた「石」は
ほとんど鉄でできた隕石(隕鉄)とそっくりでした。

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凛太郎くんは5歳の時に町田市の公園でその石を見つけ
「色やでこぼこの感じが科学館や博物館で見た隕鉄とにてるなぁ」
と感じたそうです。

東京の周辺には、有名な「八王子隕石」の例があるように、
町田で隕石が見つかっても不思議ではありません。

見た目だけでは判断できないほど「隕鉄っぽい」石なのです。
隕鉄であるかどうかをハッキリさせるためには
もっと詳しく調べる必要があります。

そこで、早稲田大学の研究員、安井万奈さんに協力を仰ぎました。
安井さんは快く協力してくださり、早稲田大学の先生方に「石」を
みていただけるよう手配してくださいました。

対応してくださった先生は、
早稲田大学創造理工学部環境資源工学科の
山﨑教授と内田教授です。
内田先生はハンディ蛍光X線分析装置という装置でどのような
種類の金属が入っているのかを分析してくださいました。

IMG_20181129_132042_resized_20181201_103223591

隕鉄であれば鉄の他に30%以下のニッケル、
数%以下のコバルトが入っているはずです。

結果、ニッケルは6%程入っているものの、
クロムが20%以上入っていることがわかりました。
これは人間がよく使っている合金(ステンレス鋼)と
とてもよく似ているものです。
つまり、隕鉄である可能性は非常に低いという結果でした。。。

結果は期待した通りではありませんでしたが、5歳の凜太郎くんが
博物館などで見た隕鉄の特徴をちゃんと覚えていて、
それとそっくりな石を見つけたことには驚きました。
凜太郎君はとても優れた観察眼を持っているようです。
これからもいろいろなものを注意深く観察し、
また面白いものを見つけてくれることを期待しています。


研究・交流グループ【地学担当】






 

 

科学館の屋上の砂 ~飛来物の調査4~

2016.12.11 09:50:52

定期的に調べている科学館の屋上へ飛来した砂粒についての報告です。

2016年3月~6月

鉱物写真

2015年12月2日~2016年3月2日(写真の幅 6mm)
西東京市ではローム層の深い部分に見られるヒル石が入っています。

 

2016年3月~6月

2016年6月3日HP幅6mm

2016年3月2日~6月3日(写真の幅 6mm) 角閃石が入っています。過去に西東京市の関東ローム層の中の鉱物を調べた際、 角閃石は地下約7m付近の東京軽石層と思われる層に多く入っていました。 昨年末から深い場所の鉱物が多く見れられるようです。

 

2016年6月~9月

2016年9月 HP 幅6mm

2016年6月3日~9月3日(写真の幅 6mm) 斜方輝石に取り込まれた磁鉄鉱がありました。

屋上の飛来物を回収に行くと、飛来物採集用のバットに溜まった雨水で 鳥が水浴びをしていました。鳥にくっついてくきたものも混じっているようです。

 

2016年9月~12月

2016年12月3日 HP幅6mm

2016年9月3日~12月3日(写真の幅 6mm) この時期の飛来物には錆が非常に多く入っていました。錆のためにバットに溜まった雨水が赤くなっていました。 コンクリートの破片も多く入っていました。錆やコンクリート片は科学館の屋上のものかもしれません。 飛来物の採集場所を再検討して、できるだけ自然のものが多く入るよう工夫してみます。

自然チーム 地学担当

科学館の屋上の砂 ~飛来物の調査3 & 「謎の球体について」~

2016.01.08 17:55:04

新年あけましておめでとうございます。

2016年最初のロクトリポートは、前回9月の報告に引き続き
科学館の屋上へ飛来した砂粒についての報告です。
(前回の記事↓)
https://www.tamarokuto.or.jp/blog/rokuto-report/2015/09/30/

今回は、謎の球体について少し調べてみました。詳細は後半で。

9月

9月 3mm HP

2015年8月9日~9月11日(写真の幅3㎜)↑ 謎の球体、関東ローム層起源の斜方輝石、恐らくコンクリートからはがれた石英。 特に目新しいものはありませんでした。

10月

10月 幅3mm HP

2015年9月11日~10月3日(写真の幅3㎜)↑ 火山ガラスに見えるものがありました。最近の噴火の火山灰ではなく、 関東ローム層起源だと考えられます。 謎の球体の正体が気になります。

11月

11月 幅6mm

2015年10月3日~11月7日(写真の幅6㎜)↑ コンクリート片が多く入っていました。 科学館の前で宅地整備の工事が始まったためか、 0.1㎜以下の小さな砂粒が多いように感じます。

12月

12月 幅3mm

2015年11月7日~12月2日(写真の幅3㎜)↑ ヒル石が入っていました。ヒル石はこの辺りの関東ローム層では 地下10mくらいの武蔵野ローム層に入っています。どこかで比較的 深い穴を掘って工事をした時に飛んできたものだと考えられます。

 

「謎の球体について」

球状の飛来物IMG_4257 (2)写真の幅6mm - コピーs

写真の幅6mm↑

一年間、科学館の屋上に飛来する砂粒を見てきました。 その中で時々見られる謎の球体について少し調べてみました。 この球体は磁石に付くので鉄の粒のようです。 球状の形から、溶けた鉄が無重力(空中で落下しながら?) の中で冷え固まったものだと予想できます。 「これはもしかして宇宙塵(うちゅうじん)か!?」

鉄隕石が地球に落下する際に大気との摩擦熱で溶けて 小さく飛び散ったのもだとしたらロマンを感じませんか?

ただ、溶けた鉄が空中で固まるという状況は鉄の溶接でも 起こりますので、そういったものの可能性もあります。

どちらであるのか、より確からしいことを知るためには 化学組成(どんな元素でできているか)を調べる必要があります。

もし、宇宙塵であれば鉄の他に数パーセントのニッケルが 含まれるはずです。鉄隕石は大部分が鉄と数パーセントの ニッケルでできているからです。

宇宙塵化学組成IMG_20151111_132052 (1)

国立科学博物館筑波研究施設の分析装置で特別に分析してもらいました。 その結果。。。

宇宙塵化学組成IMG_20151111_132052 (2)

ニッケルは含まれていないようでした。 どうやら謎の球体は人間の活動でできたもののようです。

残念ながら今回集めたものの中には宇宙塵はないようですが、 宇宙塵は私たちの近くにも落ちているはずです。 もう少し詳しいことが分かってきたら、身の回りの宇宙塵を 探してみようと思います。

自然チーム 地学担当

 

科学館の屋上の砂 ~飛来物の調査2~

2015.09.30 09:56:47

前回5月の報告に引き続き
科学館の屋上へ飛来した砂粒についての報告です。
(前回の記事↓)
https://www.tamarokuto.or.jp/blog/rokuto-report/2015/05/03/

5月

5月 鉱物写真 HP

2015年4月2日~5月5日(写真の幅6㎜)↑
斜方輝石、角閃石、石英などが見られました。
斜方輝石は関東ローム層起源、その他はコンクリートがはがれたものだと考えられます。

6月

6月IMG_4339 (5)s HP

2015年5月5日~6月9日(写真の幅6㎜)↑
磁鉄鉱の自形の結晶を伴う斜方輝石がありました。これは関東ローム層起源だと考えられます。
火山ガラスのように見えるものが入っていました。2015年5月29日に口永良部島が噴火していますが、
関東ローム層起源の可能性もあるため、噴火との関係は不明です。

7月

鉱物写真 7月 HP×20

2015年6月9日~7月12日(写真の幅3㎜)↑
珍しく雲母が入っていました。
建材として使われている石材からはがれたものの可能性が高いと考えられます。

8月

鉱物写真8月 HP

2015年7月12日~8月9日(写真の幅3㎜)↑
錆や切削屑などの人工物起源のものが多く入っていました。
自形の角閃石にもコンクリートの破片が少し付着していますので、これも人工物でしょう。

これまで半年間の調査から、関東ローム層とコンクリートや人工物からはがれたものは ある程度起源を特定できそうです。 今後はそれ以外の飛来物に注目して調査を続けたいと思います。

(次回の報告は2016年1月の予定です。お楽しみに)

自然チーム 地学担当

 

 

 

 

科学館の屋上の砂 ~飛来物の調査~

2015.05.03 16:54:32

風の強い日に屋外で“目にゴミが入った”という経験は誰にでもあるのではないでしょうか?風の強い日にはさまざまな細かい粒が風で巻き上げられて飛んでいます。科学館の屋上にも風で運ばれてきたものが沢山落ちています。

屋上s HP

2015年1月から、そのような細かい粒(飛来物)を集めて、何が飛んできているのかを約1年間続けて調べることにしました。
その方法は単純です。屋上にバットを置いて、その中に入っているものが何かを調べるのです。年末に始めた調査では、砂粒だけ(植物片などは取り除く)を集めて、実体顕微鏡で観察しました。

今回は1月から4月までの4回分の観察結果を報告します。

1月

鉱物写真1月 HP

2014年12月2日~2015年1月5日(写真の横幅:6mm) ↑
ほとんどが屋上のコンクリートからはがれた砂粒のようです。その他には鉄錆がはがれたものと関東ローム層に含まれる鉱物(斜方輝石やチタン鉄鉱)が見えました。火山灰などに含まれる、高温型の石英の粒も見えます。どこから飛んできたのでしょう?

 

 2月

鉱物写真2月 HP

2015年1月5日~2月11日(写真の横幅:3mm) ↑
濃い緑色の単斜輝石が入っていますが、これは関東ローム層起源だと思います。
高温型の石英は、少しセメントがついているので、おそらくコンクリートからはがれたものでしょう。

 

3月

鉱物写真3月 HP

2015年2月11日~3月13日(写真の横幅:3mm) ↑
コンクリートからはがれた石英と関東ローム層のなかの鉱物の他に、まん丸な黒い球体が見えます。
この球体はどこから来たのでしょうか・・・。

 

4月

鉱物写真4月HP

2015年3月13日~4月2日(写真の横幅:6mm) ↑
コンクリートの細かい破片と、関東ローム層のなかの斜方輝石などの鉱物の他に鉄の切削屑のようなものが見えます。目に入ったら痛そうですね。

パッと粒を見ただけでは、それが人工の物なのか自然界の物なのか、またどこから飛んで来たのか、ということが分からないので、何回も調査を続けてその正体を考えていきます。

この調査は、鹿児島県の桜島が2014年12月に比較的大きな爆発的噴火を起こしたのをきっかけにはじめました。ここまで桜島の火山灰が飛んで来るかもしれないと思ったからです。信じられないかもしれませんが、過去に桜島周辺で噴火した火山の噴出物が東京まで飛んできています。科学館ではその時の火山灰を展示していますので是非見に来て下さい。

(次回の報告は2015年9月の予定です。お楽しみに)

 

自然チーム 地学担当


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