科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

ソロモンの指輪

『ソロモンの指輪』/コンラート・ローレンツ 著/日高 敏隆 訳/早川書房

科学の本棚Ⅱ~科学と女性~
【私の一冊】本多 親子/東京大学大学院農学生命科学研究科附属 生態調和農学機構 教育研究部 生物・物質循環研究領域 准教授

『ソロモンの指輪』/コンラート・ローレンツ 著/日高 敏隆 訳/早川書房

 コンラート・ローレンツ博士は、鳥のひなが生まれて最初に見た動くものを親として認識する現象(刷り込み)を発見したことでよく知られています。私の研究の専門分野は果樹園芸学で動物行動学とは一見無縁ですが、自然現象を観察して何かを読み取るという点では共通点があるなあと思いながら、久しぶりにこの本を読み返しました。
 この本の日本語のタイトルは、魔法の指輪を持つソロモン王はありとあらゆる動物たちと会話ができたという旧約聖書の記述にちなんでいます。ローレンツ博士は、自分がよく知っている動物とだったらそんな指輪はなくても会話ができるよ、と言いたくてこの本を書いたのでしょう。数ある話題のうち、特に、博士自身がハイイロガンのひなを「親」として「ハイイロガン語」で育てるエピソードが興味深いものとなっています。
 身近な生き物に興味のある皆さんにお薦めの一冊です。