『日本の川 たまがわ』/村松 昭 著/偕成社
【私の一冊】伊藤/統括マネージャー補佐(総合渉外、スタッフローテーション調整、展示メンテナンス総合管理などをしています)
『日本の川 たまがわ』/村松 昭 著/偕成社
当館の展示室「地球の部屋」に、『湧き水』の展示を制作した時、「めずらしい、川の絵本があるよ」と同僚から薦められた絵本です。当時私は、子ども向けの「川パズル」コーナーを担当し、北は荒川、南は多摩川に囲まれた武蔵野台地の川を調べていたこともあり、大変興味深く読ませてもらいました。
絵本は鳥瞰絵図という手法で描かれており、山の神様とお使いの男の子が雲に乗り、空から眺めるかたちで、現在の多摩川を源流から河口の東京湾へと下っていきます。描写は緻密かつ多面的で面白く、大人でも新しい発見が多々あり、機会があれば、多摩川の水源林へ登山したり、土地勘のない下流の地域を探索してみたりと、川を手がかりに自分が暮らすこの世界のことをもっと知りたいと思うほどでした。
この絵本は、一つの事象を科学的に、そして歴史や産業といった文化的な側面からも見ることで自分の世界観が広がることを、私にやさしく丁寧に教えてくれました。