髙柳雄一館長のコラム

「夏だ!とびこめ!魚ワールド」に寄せて

 「さかな」と聞いて、どんな魚を皆さんは想像しますか?犬や猫のようなペットの場合は、可愛らしい生きた姿を想像できますね。魚の場合は同じ動物なのに、食卓で出会うお皿の中の魚を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
 陸に住む人間にとって、水中に住む魚に出合う機会は限られます。水槽の中の金魚や熱帯魚、川や池で見かける鯉など、生きている姿に出会える魚の種類も多くはありません。食卓で知っている魚の生きた姿には、水族館でしか出会えないようですね。
 海や川、湖など水辺に親しむ機会も多い夏休み、夏は私たちが魚たちの住む世界を想像しやすい季節です。この企画展は、日ごろ名前と味でしか知らない未知の動物、身近にいるのに意外と知らない動物である魚の世界へ皆さんをご案内します。
 魚がどんな体つきをしていて、水中ではどんな生活をしているのか、どんな仲間たちと住んでいるのか、興味深い魚の世界を色々な観点から探ります。
 食卓だけで魚が大好きな皆さんも、生き物の仲間としての魚を知ることにより、これまで以上に魚の魅力を楽しめるようになるはずです。

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髙柳雄一館長

高柳 雄一(たかやなぎ ゆういち)

1939 年4月、富山県生まれ。1964年、東京大学理学部物理学科卒業。1966年、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了後、日本放送協会(NHK)にて科 学系教育番組のディレクターを務める。1980年から2年間、英国放送協会(BBC)へ出向。その後、NHKスペシャル番組部チーフプロデューサーなどを 歴任し、1994年からNHK解説委員。
高エネルギー加速器研究機構教授(2001年~)、電気通信大学教授(2003年~)を経て、2004年4月、多摩六都科学館館長に就任。

2008年4月、平成20年度文部科学大臣表彰(科学技術賞理解増進部門)