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日本史の謎は「地形」で解ける

『日本史の謎は「地形」で解ける』/竹村 公太郎 著/PHP研究所

【私の一冊】田島/多摩六都科学館ボランティア(からだの部屋でのコミュニケーション、科学館イベントのサポートなど)

『日本史の謎は「地形」で解ける』/竹村 公太郎 著/PHP研究所

 本書は「なぜ京都が都になったのか」、「元寇が失敗に終わった本当の理由は」などの多くの日本史の謎解きに取り組んでいる。一般の歴史専門家はまず文書を中心に置いて歴史を調べ書き表していくものであるが、本書はこうしたやり方とは少し異なる視点、物差しで書かれたものである。

 国土交通省の技術系官僚として長年河川行政に携わってきた著者(退官時は国交省河川局長)は、地形、地理、気象、インフラ(社会資本)を思考の中心に据えた独自の視点で、日本の歴史・文明を解きほぐす試みをしている。

 昔、一時は理系進学を考えたこともあった私にとって、偶々著者と大学同窓、同年の学部卒業ということもあって、親近感を抱いて本書に接したのであるが、それ以上に理系・文系を問わない広範な視野を提供する本書に強く魅かれた次第である。どなたにも楽しく読める本としておすすめしたい。