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珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界

『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界 』/奥 修   文・写真/福音館書店 

【私の一冊】原/パブリックリレーションズグループ(標本整理や図書館と連携した活動をしています)

『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界 』/奥 修   文・写真/福音館書店 

 本のタイトルに「美術館」とありますが、作品を見るためには顕微鏡が必要です。

 珪藻(ケイソウ)とは、単細胞の植物プランクトンの一種。ガラス質の殻を持っているのが特徴で、種類によってさまざまな形をしています。この本では、珪藻の殻をきれいに並べて作られたクリスマスツリーや花などの作品が紹介されていますが、珪藻1つの大きさは0.005㎜~0.5㎜くらいととても小さく、形の選別から作品の完成までほとんどの作業が顕微鏡下で行われていることを思うと、その作業のすごさと作品の美しさに、ついついため息が出てしまいます。

 私が初めて珪藻アートの本物を見たのは、10年近く前に開催した教員研修のとき。講師の大学の先生が、「面白いものあるよ」と見せてくださった珪藻で描かれたクリスマスツリーが、今にして思うとこの本の作者、奥修さんの作品でした。

 この本に載っている作品の美しさだけでも十分に楽しめますが、珪藻の採集から完成に至るまでの過程を知ると、より深く、珪藻アートを楽しめると思います。


2017年春の企画展「Zoooooom!」開催の際には、会場の展示用にこの本の著者の奥修さんに珪藻アートの製作をお願いしました。星形のデザインの依頼に「六都にちなんで六芒星にしました」と作ってくださったのがこの作品です。