『いのち愛づる姫 ものみな一つの細胞から』/中村 桂子・山崎 陽子 著/堀 文子 画/藤原書店
科学の本棚Ⅱ~科学と女性~
【私の一冊】中村 桂子/JT生命誌研究館 名誉館長
『いのち愛づる姫 ものみな一つの細胞から』/中村 桂子・山崎 陽子 著/堀 文子 画/藤原書店
この本の主人公は平安時代(1000年前)のお姫様で、13歳です。毛虫が大好きで、名前をつけ、掌にのせて観察します。見かけは悪いけれどけんめいに生きる姿は可愛い。自分ともつながったいのちを感じます。科学は知らないけれど、観察の力でいのちの本質を見ている女の子です。あなたも小さな生きものをよく見つめたら、そこは科学の入り口です。
私は虫の中の細胞やDNAを調べ、すべての生きものが38億年も前に生まれた一つの細胞を祖先にしていることを知り、いのちは皆んなつながっていると感じています。
1000年を越えて二人の女子が見たいのちの物語を山崎陽子さんがミュージカルにし、堀文子さんの作品から内容にぴったりの絵を選んでできた本です。
文学も絵も科学も、いのちはすばらしいと語ります。