『ふくはなにからできてるの? -せんいのはなし-』/佐藤 哲也 文/福音館書店
【私の一冊】原/パブリックリレーションズグループ(標本登録や図書館と連携した活動をしています)
『ふくはなにからできてるの? -せんいのはなし-』/佐藤 哲也 文/網中 いづる 絵/福音館書店
多摩六都科学館では年に数回、科学の本の読み聞かせと簡単な実験や観察を組み合わせたワークショップを開催していますが、その準備で大変な作業の一つが本選びです。
実験や観察のテーマを先に決めてからそれに沿った内容の本を探しはじめると、丁度いいものがなかなか見つからないことがあります。というのも、科学の本はたくさんあってもその中で「読み聞かせにも使える本」は実は少ないのです。図鑑や解説書は調べものをするには便利ですが、文章が短かったり断片的だったりと、声に出して読んで伝えるには向いていません。科学現象や生きものについて、ストーリーで伝えてくれる科学絵本は貴重なのです。
以前、洗濯記号を調べるワークショップを企画したとき、一番苦労したのが本選びでした。洗濯のコツや様々な身近なマークの意味を解説する本はあれども、読み聞かせに向いた本が無かったのです。そんなとき図書館の方から「新刊でこんな絵本あったよ!」と教えてもらったのがこの本でした。本に登場する女の子が服についているタグを見つけて、そこに書いてある文字やマークから素材や洗濯方法を読み解いていく展開は、私たちの考えた体験の内容にぴったりでした。
参考本を探すときは、ついつい古くからある作品をあたりがちなのですが、新刊もちゃんとチェックするべし!と心新たにするきっかけになった一冊です。
※本文中にある洗濯記号を調べるワークショップは、「おうちでロクトを楽しもう」ページの「家にあるもので自由研究 ~服しらべ ②~」に掲載しています。