科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

うるさく、しずかに、ひそひそと 音がきこえてくる絵本

『うるさく、しずかに、ひそひそと 音がきこえてくる絵本』/ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ 著/河出書房新社

【私の一冊】廣江/パブリックリレーションズグループ(科学館の活動内容やお知らせを発信したり、ロクトニュースやチラシデザインなどを手がけています)

『うるさく、しずかに、ひそひそと 音がきこえてくる絵本』/ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ 著/広松 由希子 訳/河出書房新社

 はじまりはビッグバン。それから鮮やかな色やかたちが溢れだし、私たち身体の内と外で縦横無尽に躍動する。普段は耳とそのおくの聴覚器官で感じ取る空気のふるえ“音”を美しいグラフィックで視覚化した絵本です。音の仕組み、音の単位、音を生み出すもの、音とテクノロジー。ページをめくるごとに“音”を軸に自分を取り巻く世界がどんどん形成されていきます。

 やがて聞く、という行為から、言語や手話、他者との対話、自分との対話を通して音を聴く、という行為へ読者を誘っていきます。

 作者はウクライナのアーティストユニット。厳選された蛍光色とユニークな形で構成されるイラストレーションで、視覚と聴覚を巧みに紙面上に共存させていきます。音ってどんな形をしているのだろう。この絵本のなかではみんなが共有のイメージを通して音に触れ、かたちにして一緒に楽しむことができます。見えないもの、抽象的なものを誰でも楽しめるようにどのようにビジュアル化し構築していくか、という点で、デザインの勉強としてもとても参考になりました。