科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

世界のふしぎな木の実図鑑

『世界のふしぎな木の実図鑑』/小林 智洋、山東 智紀 著/創元社

【私の一冊】鈴木(真)/アテンダントチーム(チケット販売や手続きなど、入り口で館内をご案内しています)

『世界のふしぎな木の実図鑑』/小林 智洋、山東 智紀 著/山田 英春 写真/創元社

 書店にて、いちばんわくわくする本を買おうと決めて購入した一冊です。

 植物学的な分類・網羅という観点ではなく、木の実の移動手段や見た目を分類項目としていて、ユニークな外形に焦点を当てた構成になっています。

ページをめくると、見開きでドングリの仲間の写真がずらりと並び、クルミや松ぼっくりと続いていきます。
そして地球上にある様々な木の実の移動手段が紹介されます。風に舞うために綿毛を持つもの、ブーメラン状や円状の翼を持つもの、動物にひっついたり、漂流したり、はじけたり。オーストラリアでは山火事にあって初めて種子が出てくるものがあるそうです。それぞれの環境下で独自の進化を遂げた木の実の一生に思いを馳せると、なかなか先に読み進めません。

 人間はその木の実を食用、染色、楽器、装飾品、お守りなどに活用してきました。造形の美しさがよく分かる写真を眺めていると、私も実際に木の実を手に持ち、観察し、愛でてみたいという欲求が生まれました。見つけた木の実から、そこに落ちるまでの経緯や、仲間や分布や起源について、関心を広げていこうと思います。