科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

光と物質の不思議な理論

『光と物質の不思議な理論』/R.P.ファインマン 著/岩波現代文庫

【私の一冊】﨏 隆志/東京⼤学宇宙線研究所 准教授

『光と物質の不思議な理論』/R.P.ファインマン 著/岩波現代文庫

 新聞の⼀⾯を飾ったボイジャー探査機による⽊星や⼟星のカラー写真が、胸を踊らせた最初の宇宙の読み物でした。

 科学雑誌ニュートンでブラックホールや素粒⼦の世界に魅せられて物理を⽬指し、理学部⼊学を決めた時に、担任の物理教師がこの本を貸してくれました。学校の物理しか知らなかった⾃分が、量⼦電磁⼒学のまさに「不思議な世界」に惹かれ、⼀気に読んだことを覚えています。

 決して簡単な内容ではありませんが、⼀般講演⽤の著者の巧みな説明が現代物理学の考え⽅に正しく導いてくれます。式を書けば⼤学院⽣の教科書にもなる内容が、中学⽣でも楽しめるように書かれています。

 ⾃然科学全般への興味の⼊⼝として、ドラえもんのスネ夫君の話からも影響を受けた気がします。

↑こちらは2019年多摩六都科学館で開催した「科学の本棚」に展示したパネルです。