科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

たべられるしょくぶつ


『たべられるしょくぶつ』/森谷 憲 ぶん/福音館書店

【私の一冊】原/パブリックリレーションズグループ(標本登録や図書館と連携した活動をしています)

『たべられるしょくぶつ』/森谷 憲 ぶん/寺島 龍一 え/福音館書店

 キャベツの種をまくと、キャベツができる。ニンジンの種をまくと、ニンジンができる。当たり前のことですが、種から育って私たちが知っている野菜の姿になるまでを、どのくらい知っているでしょうか?

 この本では、種から花が咲くまでの時間を見開きのページにギュッとおさめて、変化の様子を教えてくれます。キュウリは花が咲いた後どこが育ってあの形になったのか。あまり見ることのないキャベツやニンジンの花の形。種イモや茎からジャガイモやサツマイモが育っていく様子。本を読み進めていくと、いつも見ている野菜の見たことがなかった姿に出会うことができて、小さな子ども向けの絵本でありながら大人でもたくさんの発見ができます。また、どのページにもその野菜の種のできる場所が書き添えてありますが、これは野菜も「種から育って花が咲き、また種を残す」という植物としての一生があることを示しています。初版が1972年の本ですが、その普遍的な内容は今でも十分通用します。

 スーパーや八百屋で見かける野菜が植物としてどういう時間を過ごしてきたのか、いつもと違った視点で見るきっかけになるおもしろい絵本です。