『Active Galactic Nuclei』／Julian H. Krolik 著／プリンストン大学出版

【私の一冊】秦 和弘／国立天文台水沢VLBI観測所 助教

『Active Galactic Nuclei』／Julian H. Krolik 著／プリンストン大学出版

　宇宙には銀河の中心で激しく輝く「活動銀河核 (Active Galactic Nuclei)」という天体が存在し、その究極の正体は巨大なブラックホールです。

　本書は活動銀河核について大学院生向けに書かれた教科書で、私が大学4年生で研究室に配属されて初めて本格的に読んだブラックホール関連の専門書です。英語、600ページ超、しかも非常に専門的で、当時の自分には読むのが正直辛かったことを覚えています。

　しかし答えや事実が淡々と記述される一般的な教科書とは違い、あの論文ではこう言っているけど私の解釈は異なる、など著者の信念が随所に現れ、研究の最前線というのは答えが用意されているものではなく、自分たちで切り開くものなのだと感銘を受け、研究者を本気で志すきっかけを与えてくれました。

↑こちらは2019年多摩六都科学館で開催した「科学の本棚」に展示したパネルです。