『相対性理論入門』/内山 龍雄 著/岩波新書
【私の一冊】三原 智/高エネルギー加速器研究機構(KEK) 教授
『相対性理論入門』/内山 龍雄 著/岩波新書
高校生の頃、理系科目の勉強が好きだった。漠然と数学、物理、化学といった科目について意欲的に学んでいたが、数学の先生が行列の話のついでに特殊相対性理論の簡単な説明をしてくれた。そこで「もう少し勉強してみたい人のために」と紹介してくれた本がこの新書である。
特殊相対性理論と聞くと当時高校生だった私ではとても歯が立たないと思っていたが、この本では「動く電車の中での光の進み方」という容易に想像できる例でもって理論のもっとも重要な部分が説明されていた。当時、高校生ながらに何かを理解できたという感動は今でも鮮明に覚えている。
原理と法則に忠実に基づいて科学的にものを考えるスタイルを学ぶことができた最初の一冊である。
↑こちらは2019年多摩六都科学館で開催した「科学の本棚」に展示したパネルです。