科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

世界一おいしい火山の本

『世界一おいしい火山の本』/林 信太郎 著/小峰書店

【私の一冊】戸谷/研究・交流グループ(しぜんラボやちきゅうラボにいらっしゃるお客様に科学の楽しさを体験してもらえるようにとご案内をしています)

『世界一おいしい火山の本』/林 信太郎 著/小峰書店

 子どもの頃にテレビで観た長崎県の雲仙普賢岳の噴火の様子は、私に鮮烈な印象を残しました。

 火山は、噴火で多くの犠牲者を出したり、周辺に暮らす人々の生活に支障を及ぼしたりしますが、一方で麓の土地を平らで住みやすくし、豊富な水資源や温泉という恵みももたらしてくれます。

 著者は過去の火山活動を調べ、噴火の起こり方がそれぞれ異なる火山の「くせ」を探り、次の噴火がどのように起こるかを考える火山学者ですが、火山の本は専門用語ばかりで難しい、という印象をこの本は覆してくれます。

 本で紹介されているのは、キッチンで簡単にできるお菓子を使った火山実験。おいしく、楽しく火山を学べます。チョコレートやココア、アイスクリームを使って、溶岩ドームやカルデラ、火山泥流をつくれるなんてわくわくしませんか?

 「火山とどう付き合うか」は、火山の多いこの国に住む私たちにとって避けられない問題です。火山を怖れると同時にそのしくみを正しく知り、被害に遭わないように行動する。この本は、その手助けをしてくれます。