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ぷらべん 88歳の星空案内人 河原郁夫

『ぷらべん 88歳の星空案内人 河原郁夫』/冨岡 一成 著/旬報社

【私の一冊】齋藤/天文グループ(プラネタリウムでの星空解説、天体観望会、ドームでの講演会イベントなどの企画や運営をしています)

『ぷらべん 88歳の星空案内人 河原郁夫』/冨岡 一成 著/旬報社

 自らをプラネタリウムの弁士、略して『ぷらべん』と称される河原郁夫先生は昭和5年生まれ、現在89歳の日本最高齢の現役プラネタリウム解説員です。私も先生の投影を何度も拝聴しており「星を好きになったのが小学4年生の頃、戦前に東京の有楽町にあった東日天文館のプラネタリウムに大変感動したのが始まりです。」というお話をお聞きしています。

 この本では東日天文館で誕生した天文少年が、過酷な戦火を生きのび、『ぷらべん』の道をどのように歩んできたのかを、長期に渡るインタビューを元にノンフィクションで伝えています。戦争体験、イラスト入りの季節の星空解説、これまで操作してきた投影機のお話。まるでいつものプラネタリウム投影で、河原先生の口調そのままに語りかけてくるような一冊です。

 星とプラネタリウムをこよなく愛する『ぷらべん』、河原郁夫先生の解説に対する謙虚かつ真摯なご姿勢に、私の解説も大きな影響を受けています。

※河原先生は、かわさき宙と緑の科学館『星空ゆうゆう散歩』にて2ヶ月に一度星空解説をされています(※コロナ対策のため2020年5月1日現在は投映休止中)。
http://www.nature-kawasaki.jp/planetarium.html