科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

ほうさんちゅう

『ほうさんちゅう』/かんちく たかこ 文/アリス館

【私の一冊】戸谷/インタープリターチーム(しぜんラボやちきゅうラボにいらっしゃるお客様に科学の楽しさを体験してもらえるようにとご案内をしています)

『ほうさんちゅう』/かんちく たかこ 文/松岡 篤 監修/アリス館

 放散虫はガラス質の骨格を持つ小さな小さなプランクトンで、約5億年前に登場し、今も世界中の海に暮らしています。私が放散虫に興味を持ったきっかけは、顕微鏡で放散虫の化石を見てその宝石箱のような美しさに圧倒されたことです。放散虫はどんな生き物なのかもっと知りたくなり、そしてこの本に出会いました。この本に登場する放散虫は、深海から潜水艇が持ち帰った石から見つかった化石で、どれもとってもユニークで神秘的です。私は放散虫が時代ごとに形が変わっていったのはなぜなんだろう、何を栄養にしているんだろう、化石をどうやって石から取り出すんだろうと、興味がどんどん湧いてきました。

 海にはこんなに美しい生き物がたくさん暮らしているんだ、と想像するとワクワクします。この本はそんな探求の扉をそっと開いてくれました。

 皆さんもぜひこの本を手にとってみてください。きっと素敵な放散虫に出会えますよ。