科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

星と伝説

『星と伝説』/野尻 抱影 著/偕成社

【私の一冊】廣江/パブリックリレーションズグループ( 科学館の活動内容やお知らせを発信したり、ロクトニュースやチラシデザインなどを手がけています)

『星と伝説』/野尻 抱影 著/偕成社

 小学生の時、初めて母親と渋谷のプラネタリウムに行き、そこの売店で買ってもらったのが「星と伝説」です。プラネタリウムの小さな空から繰り広げられる壮大な物語に感動した私は、すかさず母にねだりました。

 この本は星の文人と呼ばれる天文随筆家が書いた昭和39年初刊のロングセラー本です。ギリシャ神話だけでなく、日本、中国など、星にまつわる世界の様々な伝説が分かり易くまとめられています。 授業では教わらない、人間臭い登場人物たち、ロマンティックな恋愛ストーリー…同じ星でも、国や民族によって描かれる世界観も違い、遠い昔から人々は空を見上げて、きらめく星の向こうに自由に物語を紡いできたのかと私のイマジネーションは大きく掻き立てられました。夢中になった私はこの本で描かれた神話を夏休みの自由研究で漫画にしました。

 大人になった今でも、時々読み返すと、物語を紡ぐことの面白さや星たちを介して古代の人々とリンクしたような感動が蘇ってきます。この本を読んだあと、実際に夜星を眺めながら自分だったらどんな物語が浮かぶかなと想像してみるのも楽しいかもしれません。