科学の本棚~科学と出会う・世界と出会う~

POWERS OF TEN 宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅

『POWERS OF TEN 宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅』/フィリップ・モリソン、フィリス・モリソン、チャールズおよびレイ・イームズ事務所 著/日経サイエンス社

【私の一冊】石山/パブリックリレーションズグループ(広報=Public Relations:科学館と利用者の皆さん、科学館と地域、科学館と社会との関係作り)

『POWERS OF TEN 宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅』/フィリップ・モリソン、フィリス・モリソン、チャールズおよびレイ・イームズ事務所 著/村上 陽一郎、村上 公子 訳/日経サイエンス社

 「旅」といえば、南の島や北方のオーロラなど、横方向の移動を思い浮かべるものですが、この本が導くのは「大きさの旅」です。身近なピクニックの風景(100m)から10億光年先(1025m)まで遠ざかったり、手の中の炭素の原子核からクオークの存在が見えるまでズームインしたり(10-16m)。

 この本の内容はもともと10分程度の映像作品だったものです。とてつもない距離の移動があるにもかかわらず、カメラは一点をみつめたまま。人間が知りうるかぎりの世界を、10の累乗という枠で切り取って見せる編集手法(本ではたった42枚の画像)に、当時多くの作り手が「やられた」と思ったに違いありません。映像は、ウェブ上で誰でも見られるものがあるようです。

 旅行ができない今、ミクロの世界とマクロの世界への「大きさの旅」はいかがでしょうか。

※多摩六都科学館の展示室は「大きさの旅」ができる構成になっています。元素周期表やボールのふるまいなど目に見えない法則に触れる「チャレンジ」の部屋、「人」を知る「からだ」の部屋、人が作る機械や社会の「しくみ」の部屋、ヒト以外の生き物たちや環境を知る「自然」の部屋、さらに大きく地球の成り立ちを知る「地球」の部屋、そしてプラネタリウムで宇宙へ!無事再開し、科学館内で大きさの旅を楽しんでいただける日を心待ちにしています。