ロクトリポート

プラネタリウム「ノチウ」電子顕微鏡でクマの毛を見てみました!

イランカラテ!

いよいよ7月4日までとなった生解説プラネタリウム「ノチウ -アイヌ民族の星座をたずねて-」。同時開催のミニ展示も7月4日で終了です。

ノチウ 展示風景2021(展示協力:公益財団法人アイヌ民族文化財団)

この展示の中では…
ノチウ 展示獣毛(左からアザラシ、エゾシカ、ヒグマ)

北海道にいる動物の毛皮も展示中。
アイヌ民族の人々は、弓矢や毒矢、わななども使って狩猟を行っていました。
さて、今回は展示物をお借りしている公益財団法人アイヌ民族文化財団のご協力のもと、この「毛」を観察してみます。まず1本1本の様子を比べると、あれ? 一番太いのはヒグマかと思いきや……
ノチウ 獣毛1
ヒグマよりもエゾシカの毛の方がなんだか太い??
そしてアザラシの毛はとても短く、当館のホモ・サピエンスのまつげとほぼ同じような長さです。
ノチウ 獣毛2

ところで、科学館にはこんな機械があります。

ノチウ 走査型電子顕微鏡

これは走査型電子顕微鏡(そうさがたでんしけんびきょう)。小学校などで使う顕微鏡(光学顕微鏡)とは少し違いますね。今回は電子顕微鏡で動物の毛を見てみましょう。でもなぜ、電子顕微鏡を使うのでしょうか?

学芸員H「普通の顕微鏡で倍率は足りるのですが、動物の毛は光を通さないものもあるので、モノの表面のつくりを見るのに適したこの電子顕微鏡のほうが観察しやすいんです」

光学顕微鏡
観察したいものをガラス板(プレパラート)にのせて光を当て、
透過した光をレンズで拡大して見えるようにする。
可視光の波長より小さなつくりは見られない。

電子顕微鏡
可視光より波長の短い電子線を観察したいものに照射して、
その反射をセンサーで検知・画像化して見られるようにする。
光学顕微鏡では見られない細かな構造も見られるが、
特殊な装置を使い、観察のための下準備等が必要。
※電子顕微鏡を詳しく知りたい人は >> 走査電子顕微鏡(日本電子株式会社)

それでは観察の準備をします。まず試料をのせる丸い台に合うように、毛を短く切ります。
ノチウ 電顕 獣毛を切る

切った毛を、専用のテープで台に貼り付けて…
ノチウ 電顕 獣毛をセット

真空で金の粒子を蒸着する機械に入れます。
ノチウ 電顕 金メッキ前

待つこと数分。見てみると…
ノチウ 電顕 金メッキ後金色でピカピカに! 金メッキされた状態です。
続いて、毛を貼った台をセットして、
ノチウ 電顕

電子顕微鏡の中に入れます。
ノチウ 電顕

ポンプで機械の中の空気を抜くこと数分。パソコンの画面に何か……
ノチウ 電顕

見えてきた! ピントを合わせてくっきり見えるように調整しつつ、拡大します。
ノチウ 電顕では、観察スタート!

■ヒグマの体毛
ノチウ 電顕 ヒグマ

学芸員H「ウロコのように見えるのがキューティクルという体毛の表面の構造です。この毛の太さは80㎛(㎛:マイクロメートル。1mmの1000分の1、1mの100万分の1)くらいですね」

■エゾシカの体毛
ノチウ 電顕 エゾシカ

学芸員H「こちらもキューティクルがありますね。ちなみにキューティクルのはばが狭いほうが、毛は硬めになります。このエゾシカの毛は太さが130㎛くらい。ヒグマより太いですね」

■アザラシの体毛
ノチウ 電顕 アザラシ

学芸員H「このアザラシの体毛は太さ10㎛くらい。先端の方までウロコ状の構造がちゃんとあります」
ノチウ 電顕 アザラシ

(おまけ)
■ホモ・サピエンス(当館スタッフA)の頭髪ノチウ 電顕 ヒト

学芸員H「哺乳類の体毛にはみんなキューティクルの構造があります。スタッフAさんも立派な哺乳類です。この髪の毛は太さ60㎛くらい。ちょっと細めで、表面が整ったきれいな髪の毛ですよ。(何万本の中の1本のほんの一部分ですが…)」

……なるほど! 私もちゃんと哺乳類だったようです!

さてこんな風に、顕微鏡を使うと、目だけではわからない様子まで観察できます。多摩六都科学館では光学顕微鏡を使うプログラムを時々行っていますよ。そして、生解説プラネタリウム「ノチウ -アイヌ民族の星座をたずねて-」とミニ展示は7月4日(日)までです。展示を見たら動物の毛の様子も観察してみてくださいね。

全編生解説プラネタリウム 「ノチウ -アイヌ民族の星座をたずねて-」
2021年4月16日(金)~ 7月4日(日)まで

講演会「ことばから見るアイヌ文化と自然観」
2021年5月29日(土)17:30~ →【 延 期 】2021年7月18日(日)17:30~
講 師:中川 裕(千葉大学 文学部教授)
※延期に伴い、WEBまたはハガキにて追加募集受付。応募締切:7/5(月)必着

<全編生解説プラネタリウム「ノチウ」web連載@ロクトリポート>(リンクはご自由に)
vol.0 番組紹介            「ノチウ -アイヌ民族の星座をたずねて-」/アイヌ民族の星座
vol.1 星座 北斗七星①    ウシノカ・ノチウ/クットコノカ・ノチウ/北斗七星/恒星カムイ
vol.2 星座 金星            金星/疱瘡のカムイ/フレケタ/セレマック/ベテルギウス
vol.3 星座 北斗七星②    シアラサルカムイノカ・ノチウ(尾の長い熊)/弓矢/舟
vol.4 星座 月と太陽       月/ア(月の知人)/三角星/鯨/イナウ/ひしゃく
vol.5 星座 四つ星          かたつむり/船/レラ・チャロ(風の吹き出し口)
vol.6 星座 天体と季節    月の形/朝昼夜/季節
vol.7 星座 めぐる星       追われる娘たち/蛇/踊る娘たち
vol.8 星座 動物たち      狐/貂/ホケウ・ノチウ(狼)
vol.9 星座 さそり①      龍
vol.10 星座 さそり②    ザリガニ/カンナカムイ(雷[龍]のカムイ)
vol.11 番外編              関連webサイト紹介
vol.12 星座 ねずみの倉  ねずみの倉/疱瘡のカムイ/日食
展示紹介                    アイヌ民族の着物を展示中!
「ノチウ」投影開始! プラネタリウム「ノチウ」2021年4月に再登場
電子顕微鏡で・・・  電子顕微鏡でクマの毛を見てみました!
ノチウ 講演会Q&A①    中川先生講演会Q&A アイヌ語/物語
ノチウ 講演会Q&A②    中川先生講演会Q&A カムイ
ノチウ 講演会Q&A③    中川先生講演会Q&A 習慣/星/その他
※連載は一旦終了ですが、今後も番外編を公開していきます。