ロクトリポート

プラネタリウム「ノチウ」vol.11 番外編

イランカラプテ!

皆様いかがお過ごしでしょうか。
先週に続き、今日も雲が多めの天候となりました。先週金曜、もし晴れていたらご紹介したかったのが、夕方の金星と水星です。年明け以来ずっと夕空で目立っていた金星ですが、永遠に夕方に見える…というわけではなく、今だんだん高度が下がり、日に日に低く、見つけづらくなっていきます。一方、水星の高度は今比較的高めです。この二つの惑星が夕方の西の空で並んで見える日が、5月22日(金)でした。病のカムィと明けの明星である金星(ニサッサゥオッノチゥ)、水星(ポト゜ラノチゥ※)のおはなしを連載の vol.2 でもご紹介しましたが、金星と水星が並んで見える年は漁がよいという別の言い伝えもあります。ただ水星を空でご覧になったことがある方は、あまり多くないのではないでしょうか。もし明日の夕方に西が晴れていたら、月から金星へと視線を下ろしていくその途中に、水星を見つけられるかもしれません。ポト゜ラノチゥのおはなしを思い出しながらご覧いただけたらと思います。
※ト゜…参考にした書籍では、ツとトの間の音をこの表記で記載していますので、当欄でもそのまま引用します。

それでは、臨時休館と、全編生解説プラネタリウム「ノチウ -アイヌ民族の星座をたずねて-」の投影中止に伴い、アイヌ民族の星座をweb上でご紹介する企画のvol.11です(初回は>> プラネタリウム「ノチウ」紹介 vol.0 )。
ご覧くださり、イヤイライケレ !!!!!!!!!!!

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※アイヌ民族の星の話題は、この書籍からご紹介しています。
<出典> 末岡 外美夫(すえおか とみお)著
書籍 人間達のみた星座と伝承
『アイヌの星』/『人間達 (アイヌタリ) のみた星座と伝承』
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※スマートフォンなどの画面では、星座の名前が正しく表示
されないことがあります。星座名を正確に表示するには
「PC用の表示に切り替える」などの機能をお試しください。
例:ラが小さく表示されればOK → レタ
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さて今回は番外編として、星座以外の話題を少しずつご紹介したいと思います。
(リンクをご快諾いただいた関係者のみなさま、ありがとうございます!!)

■刺繍と木彫り
昨今の必需品となったマスク。手作りマスクの中で、棘(とげ)のようなアイヌ民族の刺繍が入れられたものをご覧になったことはありませんか? また、丁寧な模様を縫い付けたアイヌ民族の着物をご覧になったことはありませんか? 例えば、当館の番組ビジュアルにも登場しています。生解説プラネタリウム「ノチウ」アイヌ民族の星座をたずねて

web連載「ノチウ」アイヌ民族の星座をたずねて画像提供:公益財団法人 アイヌ民族文化財団

アイヌ民族は、刺繍や木彫りをはじめ、衣装や道具などの手工芸品の制作にも秀で、現在にもその技が受け継がれています。投影期間に展示予定だった、公益財団法人 アイヌ民族文化財団からお借りした展示品を写真で見てみましょう。

きもの(部分)
まず、はちまきや着物に施された刺繍の様子(近年制作されたものを部分的に拡大)。魔除けなどのいろいろな意味を模様に込めて、着物や装身具に刺繍が施されました。

お盆(二風谷イタ)
続いて、木彫りのお盆。伝統的な模様である渦巻き、棘の形、目の形、うろこの形などが見えるでしょうか? 細かな模様もすべて手彫りです。

お盆(二風谷イタ部分)

もし歴史系の展示がある博物館を訪れることがあれば、アイヌ民族の着物や工芸品が展示されていないか探してみてくださいね。
なお、北海道白老町でオープンを待つウポポイにも、資料展示の他、工芸の実演の見学や、刺繍や木彫りを体験できるプログラムが用意されていますよ。
>> 民族共生象徴空間 ウポポイ
>> 民族共生象徴空間 ウポポイ プログラム

■アイヌ文化を学ぶ(1)
>> 公益財団法人 アイヌ民族文化財団 webサイト
装身具などの収蔵品の写真、アイヌ民族の文化・歴史、現代のアイヌ民族の人々のこと、キッズメニュー、自然図鑑、アイヌ語学習、読み物などなど、学べるコンテンツがたくさんあります。

■アイヌ語を聞いてみる/物語に触れてみる
>> オルペスウオプ公益財団法人 アイヌ民族文化財団 webサイト、「アイヌ語」ページ内)
これまでの連載で、物語形式の伝承をご紹介していることに、お気づきだと思います。アイヌ民族は文字を持ちませんでしたが、多くの知識が口伝(くでん:口伝えに伝えること)で受け継がれてきました。知恵や戒めを物語に含めて語り継ぐこともありました。このページでは、その物語をもとに作られたアニメーションを数多く楽しむことができます。しかもナレーションはアイヌ語音声と日本語音声の二通りあり、それぞれに日本語字幕、アイヌ語カナ字幕、ローマ字字幕も用意されています。アイヌ語を聞いてみたい方、アイヌ民族の世界観に触れてみたい方、そして子どものみなさんにもおすすめです。

■アイヌ語で文章を作ってみる
>> ならべて楽しもう アイヌ語ブロック(北海道博物館 webサイト内「おうちミュージアム」ページ内)
北海道博物館の「おうちミュージアム」のページに、サイコロ四つを作ってアイヌ語の文章を組み立てる「アイヌ語ブロック」工作が公開されています。アイヌ語の文章がすぐに作れてしまいますよ! 子どものみなさんもぜひどうぞ。ページ内にいろいろなコンテンツもあり、おうちで北海道博物館をたっぷり楽しめます。

■ラジオ体操をしてみる
>> アイヌ語ラジオ体操(公益財団法人 アイヌ民族文化財団 webサイト、「アイヌ語」ページ内)
ラジオ体操!? と思われたかもしれませんがラジオ体操です。音源とともに詳しいリーフレットも公開されています。なお、ここで使われたアイヌ語は北海道沙流郡平取町(さるぐん びらとりちょう)の沙流方言を主にしたもの。「シネ、トウプ、レ、イネプ、アシ、イワン、アワン、ト! 」体を動かしながら数の数え方だってマスターできてしまうという、おすすめのコンテンツです!

■アイヌ文化を学ぶ(2)
>> アイヌ文化紹介小冊子『ポン カンピソㇱ』(北海道博物館 webサイト内)
はなす、着る、食べる、住まい、祈る、口頭文芸、芸能、民具、地名…
アイヌ民族文化研究センター(現在は北海道博物館へ統合)がいろいろな切り口でアイヌ文化を紹介した小冊子『ポン カンピソㇱ』。今は北海道博物館のwebサイトでpdf版を閲覧することができます。テーマ別に9冊発行され、どのテーマもカラー写真をふんだんに用いて各30ページ以上で解説した冊子で、関心のある分野について知りたい方におすすめです。

■アイヌ語をじっくり学ぶ
>> STVラジオ アイヌ語ラジオ講座
北海道内で放送されているアイヌ語ラジオ講座が、過去の放送を含め、インターネットでいつでも聞けるように公開されています。テキストもすべてダウンロードできます。北海道各地にアイヌ語の方言があるため、「今年度は○○地方の方言」というように順に紹介されており、2020年度は「静内(しずない)方言」です。例文を読むだけでも、人々の暮らしや風習が感じられて楽しいですよ。

■アイヌ民族の星の伝承を読む
連載で紹介している星についての話題は、旭川生まれの末岡 外美夫(すえおか とみお)さんが書かれた
『アイヌの星』
『人間達 (アイヌタリ) のみた星座と伝承』
の二冊からご紹介しています。
『アイヌの星』は旭川市立図書館による旭川叢書というシリーズの第12巻として、1979年に発行されました。『人間達 (アイヌタリ) のみた星座と伝承』は、末岡さんが2002年に亡くなった後、ご家族がその遺稿の校正と出版を志され、2009年に発行されました。どちらも市販・流通したものではないので入手は難しいのですが、各地の図書館に収蔵されているので、閲覧は可能です。
当連載だけではとてもご紹介しきれない星の伝承やアイヌ民族の姿、そしてそれを調べてまとめられた末岡さんのご功労や感性に触れられる二冊。手に取るとその厚みと重みを実感されると思います。もしこの二冊がなかったら、アイヌ民族の星座は、現代の私たちにきっとこれほど伝わりませんでした。興味を持たれた方にはぜひ触れていただきたい書籍です。

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他にも、アイヌ民族の方々の活動をはじめ、マンガ、アニメ、写真、映画、文芸作品、楽器、歌、古式舞踊、各地の博物館施設のオンラインコンテンツ……、アイヌ民族の文化に触れられる機会は、今とてもたくさんあります。ご自分の興味のある分野で、まずは一度手を伸ばしてみるのはいかがでしょうか。

それでは、前回のクイズの答え合わせです。

Q11 食事のときのアイヌ語「ヒンナ」。いったいどんな意味でしょうか?
<答> A11 感謝
おいしい、…ではなく感謝のことばです。何かをもらったことに「ありがとう」「どうも」と感謝をあらわして言い、食事以外でも用います。なお「おいしい! 」は「ケラアン フミー!」です。

<おまけクイズ>
Q12 あいさつのことば「スイ ウヌカアン ロ」。どんな意味でしょうか? 答えは次回!(火・金の14:00に連載予定です)

全編生解説プラネタリウム 「ノチウ -アイヌ民族の星座をたずねて-」
開館が再開次第投影開始 ~ 5月31日(日)まで

※臨時休館延長に伴い中止が決定いたしました。再投影は検討中です。(5/7)

講演会「ことばから見るアイヌ文化と自然観」
2020年5月30日(土) 17:10~18:40
講 師:中川 裕(千葉大学 文学部教授)
4月11日(土) 10:00より受付開始
※今後の社会情勢に応じて変更になる可能性があります。

※延期が決定いたしました。日程を調整中です。(4/17)
※一旦中止とし、改めて実施を検討いたします。(5/19)

<出典>
末岡外美夫(すえおかとみお), 1979. 『アイヌの星』
末岡外美夫(すえおかとみお), 2009. 『人間達 (アイヌタリ) のみた星座と伝承』
中川裕, 2019. 『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』 集英社

<全編生解説プラネタリウム「ノチウ」web連載@ロクトリポート>(リンクはご自由に)
vol.0 番組紹介            「ノチウ -アイヌ民族の星座をたずねて-」/アイヌ民族の星座
vol.1 星座 北斗七星①    ウシノカ・ノチウ/クットコノカ・ノチウ/北斗七星/恒星カムイ
vol.2 星座 金星            金星/疱瘡のカムィ/フレケタ/セレマック/ベテルギウス
vol.3 星座 北斗七星②    シアラサルカムィノカ・ノチゥ(尾の長い熊)/弓矢/舟
vol.4 星座 月と太陽       月/ア(月の知人)/三角星/鯨/イナゥ/ひしゃく
vol.5 星座 四つ星          かたつむり/船/レラ・チャロ(風の吹き出し口)
vol.6 星座 天体と季節    月の形/朝昼夜/季節
vol.7 星座 めぐる星       追われる娘たち/蛇/踊る娘たち
vol.8 星座 動物たち      狐/貂/ホケゥ・ノチゥ(狼)
vol.9 星座 さそり①      龍
vol.10 星座 さそり②    ザリガニ/カナカムィ(雷[龍]のカムィ)
vol.11 番外編              関連webサイト紹介
vol.12 星座 ねずみの倉  ねずみの倉/疱瘡のカムィ/日食
※連載はvol.12で一旦終了ですが、今後も番外編を企画しています。